喜矢武豊

【ゲネプロレポ】舞台『ふしぎ遊戯』で見せた ゴールデンボンバー・喜矢武 豊の新たな一面

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JRock tokyoというサイトで、喜矢武さん主演舞台『ふしぎ遊戯』のレポが掲載されています。


 

舞台『ふしぎ遊戯』で見せた ゴールデンボンバー・喜矢武 豊の新たな一面
2015/4/15 18:00:55
人気コミックス『ふしぎ遊戯』を原作とした舞台が、3月19日~29日まで、品川クラブeXにて上演された。主演を務めるのは、ゴールデンボンバーのGita-、喜矢武豊。“喜矢武さま”の舞台俳優としての一面と、独特の舞台の世界観をレポートする。
ふしぎ遊戯 喜矢武豊 今回の舞台『ふしぎ遊戯』が上演されたのは、品川プリンスホテルの3階にあるクラブeX。普段はクラシック音楽のコンサートなども行われる円形ホールだ が、その中心には本を象ったステージができている。開演前の舞台上には巻物をイメージしたであろう幕が垂らされており、舞台への期待を煽る。筆者は、本公 演に先駆け3月19日のゲネプロ公演にお邪魔させていただいた。
ふしぎ遊戯 喜矢武豊まずは『ふしぎ遊戯』という物語についてご存じない方に、簡単な説明をさせていただく。『ふしぎ遊戯』は1992年から少女コミックス誌に連載されてい た、歴史ファンタジー物語だ。異界を舞台とした独特の世界観の中で、主人公の美朱(みあか)と鬼宿(たまほめ)のラブロマンスが繰り広げられる。四神(青 龍、白虎、朱雀、玄武)の名を継いだ巫女が異世界から現れて、世界に救いをもたらすという伝承が、星の名を持つ7人の七星士が巫女を守るという言い伝えと ともに語り継がれている。朱雀の巫女である美朱は、現実世界から本の世界の中に吸い込まれ、七星士の一人である鬼宿と出会い彼らと冒険を共にする……とい うストーリーである。
舞台版では、ストーリーはかなり短縮される必要があるため、喜矢武豊演じる鬼宿を主軸としたストーリーとして展開されていた。朱雀七星士を集める旅はもち ろん、しっかり朱雀召喚の儀式まで描ききっていたストーリーのまとめ方がすごい。劇中では心宿と唯ら青龍の七星士との戦いはもちろんのこと、美朱が現実世界に帰還するまでのエピソードをきちんとまとめて描ききった脚本となっていた。
ふしぎ遊戯 喜矢武豊今回の舞台の見所はというと、個人的には鬼宿を演じる喜矢武 豊を中心とする、役者陣の殺陣にあったと思う。柳宿役の染谷俊之や心宿役の吉岡佑など、さまざまなジャンルの舞台で活躍する俳優陣が立ち回る中で、初舞台 で初主演だという喜矢武 豊の熱演は良い意味で目を引いた。特に立ち回りや他のキャストとの絡みも人一倍多かった喜矢武の熱量は、会場がステージとの境がなく客席の近い円形の劇場 だったからこそ、なおさら伝わりやすかったように思う。元気な美朱役の伊藤梨沙子との漫才のような掛け合いなども含めて、他のキャストとのコントラストも とても良かった。
ふしぎ遊戯 喜矢武豊舞台は中央が窪んだ形になっており、その高低差を活かした立ち回りや演出が多かったが、その分どの席から観ても見えやすい形になっていたのではないだろう か。また、客席部分まで降りてのアクションシーンや、客席の間の通路も舞台として使用するなど、あくまで近い距離で芝居を観られたのが良かったと思う。ま た、ちょっとした小休止的シーンなどもちょこちょこ挟み込まれている。天帝である太一君が降臨するシーンでは、原作そのままのフィギュア状態の太一君が天 井からつり下げられてきたり(原作リアル世代の筆者は、そのあまりの精巧な作り具合に大爆笑した)。太一君を囲んでのキャストの一発ギャグ大会のような シーンもあり、奮闘する翼宿役の碕理人のボケっぷりに感心したり。劇中でゴールデンボンバーのヒットソング“女々しくて”に合わせて“喜矢武さま”が踊る シーンもあり、観劇初心者でも飽きずに観られる工夫がなされていた。きっと、ライブはともかく観劇は初というバンギャルさんも多数いらっしゃったと思う が、初舞台でもわかりやすく観劇できる心遣いがなされていて、とても良い作品だと個人的に感心した。
衣装はelements,Hというファッションブランドの提供ということで、原作のイメージを損ねない程度に現代風にアレンジされた中華風の衣装が、とてもステキだった。筆者としては衣装にもかなり注目してしまった舞台でもあった。
ふしぎ遊戯 喜矢武豊個人的に心に残ったシーンは、美朱の「私のこと、ちゃんとつかまえてね」いうセリフから始まる、鬼宿と2人の会話劇である。劇中では、このセリフで始ま り、そして最後美朱が現実世界に帰って行くシーンでも、このセリフで終わるような構成になっていた。原作では美朱と鬼宿は本の世界の中では結ばれることは なく、現実世界に転生した鬼宿と幸せに暮らすという描写があるのだが……その先行きを思わず想像してしまうような、グッとくるシーンだった。囲みの取材で は「声を張ることが普段ないので、セリフを言うのが難しかった」と言っていた喜矢武 豊だったが、実際はかなりしっかり稽古したのだろうなと思わされる発声だった。このシーンのときにはマイクを通さず地声での発声だったと思うが、舞台上に 二人だけの会話シーンで、客席を引きつける演技をできる喜矢武豊の地力は、さすがとしか言いようがない。
これからも、ドラマなどで演技の経験を深めていく予定という喜矢武だが、個人的には次回の舞台出演もぜひ観たいものである。今回の舞台『ふしぎ遊戯』では“俳優・喜矢武豊”に、さまざまな方面の期待が高まった舞台になったことは、間違いないだろう。
(取材・文 戸﨑友莉)
http://jrock.tokyo/report/15809/

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